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みんな大好き『たからさがし』

今回ご紹介するのは、『ぐりとぐら』シリーズでおなじみのお二人の絵本です。

『たからさがし』(なかがわりえこ と おおむらゆりこ 福音館書店)

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たからさがしに出かけたゆうじは、原っぱで素晴らしい棒を見つけました。同時に、うさぎのギックもその棒を見つけました。そして、その一本の棒の取り合いになり、両者とも譲らず、かけっこや相撲や幅跳びで勝負しますが、決着がつきません。困った二人はギックのおばあちゃんに相談をしたところ、最後に「たからさがし」を提案されます。ピンと来た二人は同時に飛び出していき、今度も同時に、その棒のところまで駆け寄っていきました。二人が一緒に持って帰ってきた棒を見て、おばあちゃんは大喜びしました。それから、みんなでおいしいおやつの時間です。なぜおばあちゃんが大喜びしたのかは、ぜひ読んで確かめてみてください。

私は、大喜びするおばあちゃんの後ろでこっそり「あのぼう、ぼくは もうほしくない。」「ぼくも ほしくないや。」と言い合う二人が大好きです。二人の姿に子どもそのものの姿を見て、胸がぎゅっとなり思わず抱きしめたくなります。

子どもは「たからさがし」が大好きで、どんぐりでも石ころでも、時にはダンゴムシでさえ、見つけた物は何でも宝物にしてポケットの中に大事にしまいます。特に、小さい男の子は、この二人のように木の棒が大好きな気がします。うちの子どもは、散歩中に必ず木の棒を拾って歩いていました。歩きながら次々持ち換えている時もあれば、どんどんと拾って、たき火でもできそうな量になっている時もありました。ある時は台風の後の公園で、自分の2倍ほどもある大きな枝を引きずって持ってきたこともあります。どこにそんな力があったのか、子どもの好奇心にはビックリさせられることの連続です。

そんな息子がある時、木の棒を拾いながらとても警戒していることがありました。聞くと、「この棒はとてもいい棒だから、ギックも狙っている。」と言うのです。ああ、そういえば昨日『たからさがし』を読んだよねと納得し、周りを見回すと、確かにギックの出てきそうな茂みがありました。これだから、子どもと絵本を読むことはやめられないと思いました。今、児童図書室に遊びに来てくれる男の子も、木の枝を持って入ってくることが多いので、その誇らしげな笑顔を見て、あの日の息子を懐かしく思い出します。

児童図書室の裏にはコイの泳ぐ池があり、その周りには木の枝やどんぐりがたくさん落ちていて、ギックの出てきそうな木の茂みもあって、そこを歩いて児童図書室に来てくれる子どもたちは、みんなお土産を握りしめてきてくれます。それは、葉っぱやドングリや木の棒やダンゴムシです。
どれをとっても素敵な宝物です。

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コラム作成者:鳴門教育大学付属図書館児童図書室 川上 稚草

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