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『みんなのかお』が気付かせてくれたこと

今回紹介するのは、『みんなのかお』(さとうあきら写真 とだきょうこ文 福音館書店)です。
日本全国の動物園を中心とした動物のいる施設81か所で撮影された24種類の動物が、見開きで21頭(匹)ずつ並んでいる写真絵本です。

この本を初めて目にした時に、“目からうろこが落ちるとはこの事か!”といわんばかりの衝撃的な驚きがありました。ページをめくるごとに感嘆の声をあげてしまうくらいの驚きの連続です。



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それは何かというと、動物たちの顔がそれぞれまったく異なるということです。ゾウは鼻が長くて目が小さい、キリンは首が長い…とそれぞれのステレオタイプなイメージでしか動物を見ていなかったので、こんな当たり前のことにそれまで気づきもせず、考えてみたこともありませんでした。

あとがきに、「あなたとお友達の顔、お父さん、お母さん、先生たちの顔がひとり、ひとり違っているように、動物たちの顔もみんな違います。」「もうちょっと、ゆっくり動物を見てみようよ。顔だけでもこんなに違うんだよ。」というメッセージがあります。本当にその通りで、それぞれの動物たちの顔のなんと個性的なこと。整った顔、ひょうきんな顔、ちょっと怖そうな顔・・・と、見ていて飽きません。

とくしま動物園をはじめ、四国の動物園の動物たちも出ているので、作者二人が教えてくれたように、動物園に行って探してみたり、長い時間止まってじっと動物たちを見ていたら、今まで見えていなかったことがたくさん見えてきて、動物たちのドラマがあって、動物園での時間が何倍にも楽しいものになりました。

この本は、動物好きの子どもが見つけて大好きになった本なので、いつも開いて「おもしろいね。」などと話しながら見ていたのですが、ある日、顔が違うなら泣き声も違うだろうと気づいてしまったので、さあ大変。24種類の動物の21通りの鳴き声を要求されるようになってしまいました。

児童図書室の学生さんも巻き込んで、「バクって鳴くの?」「たぬきは?」などと大騒ぎしながら、504通り鳴ききった時には、大人はへとへと、子どもは大満足でした。

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この本にはまっていた時期は「この本読んで」=「鳴いて」だったので、手渡された大人は大仕事、周りの大人は「もっと変えてよ!」などとヤジを飛ばすサポーターになり、みんなで楽しんでいました。しばらく続いたあと、満足したのか飽きたのか、鳴き声ブームは去りましたが、今でも思い出すと笑ってしまいます。あの時私と一緒に鳴いてくれた学生さんや、こんな素敵な気づきと経験をさせてくれた子どもに感謝です。

このように、子どもが見つけてくれて出会えた素敵な絵本もたくさんあります。ぜひ皆さんもお子さんと一緒に図書館や書店に出向いてみてください。きっと素適な出会いがあると思いますよ。

コラム作成者:鳴門教育大学付属図書館児童図書室 川上 稚草

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