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平成30年度 地域子育て支援者の専門研修会

日時

平成30年12月3日(月)11:00~15:00

場所

ときわプラザ 研修室

参加者数

63名

「地域子育て支援の機能と効果的な支援のあり方」

講師:渡辺 顕一郎さん(日本福祉大学子ども発達学部 教授)渡辺 顕一郎さん




 午前の講義では、日本の人口減少の課題から今の子育て現役世代の立場を捉え、支援者がどのように関わっていくかについて、午後からのワークでは、事例を基に予防の視点から家庭の課題や利用できる社会資源を考え介入する方法を学びました。

<講義>

日本における人口減少の課題

・社会保障が厳しくなる。
・労働人口が減り、経済が縮小する。

 解決するために3つの取組が行われている。
  ↓
少子化対策:人口減少でそもそも子どもを産める女性の数が減っており、出生率が上がっても、出生数は減少している。効果が出るには時間がかかる。
移民政策:効果が出るのは早いが、文化の違いなどによる対立が起きる恐れもあり、うまくいくか分からない。
一億総活躍社会:国内の働ける人は老若男女問わず働く。

保育需要の伸び

 一億総活躍社会を提唱しているにも関わらず、子どもを産んだ女性が働くために、保育園に子どもを預けようとしても、受け入れてもらえない「待機児童」が問題となっている。現在の日本では、所得の格差が広がり、若い世代ほど収入が伸びないため、共働き家庭が増加していることも背景にある。
 今後は保育園だけでなく、その子どもが成長し、放課後児童クラブでの待機児童増加が見込まれるため、放課後児童クラブもさらに不足する。

子育てを取りまく社会の様相

図1.png
 上の図の縦の線は、子育て経験の受け渡しを指し、横の線は子育て現役世代の支え合いを指している。
 本来子育ては、子育て経験の受け渡しと、子育て現役世代の支え合いを中心に成り立ってきた。
 今は核家族が多く、ご近所付き合いも少なくなっているため、近くに子育てを教えてくれる人がいない(縦の線が切れ切れになっている)。
 また、昔は井戸端でお母さん同士が集まって情報交換をしたり、子どもの面倒を見あったりしていたが、今のお母さんはそういった場が少なく、面倒を見てもらうのも、一時保育や一時預かりを利用するので、親同士のつながりも昔より希薄になっている(横の線が切れ切れになっている)。

 本来支えがあって成立していた子育ての営みが、支えがなくなり、家庭の中に閉じ込められ、その営みの役割をお母さんが一身に担っている。この負担からお母さんは、育児不安や産後うつ、子どもを過剰に守ろうと先回り育児をするようになってしまう。(※先回り育児は、子どもの自発性を伸ばす機会を奪ってしまう場合がある。)

子育て支援とは

 「親の養育能力を高める」という意味よりも、むしろ「地域や社会全体で子育てを支える」という意味。

 保育所・子育て支援センター・児童館・学童保育など、子育て家庭にとって身近な地域の中に存在する施設において、子育て支援を推進することが求められている。
 日本では虐待への取組として、「通告する」「再発を防止する」ことに力を入れてきたが、それだけでは不十分。通告した段階で、子どもは虐待を受けた後なので、発生する前に、虐待そのものを予防することが大事。
 虐待のリスク要因として、環境的要因・親の要因・子どもの要因・援助者の不在が挙げられる。つまり、援助者が居れば虐待のリスクは下がる

支援者の役割

 〇温かく迎え入れる
 〇身近な相談相手であること
 〇利用者同士をつなぐ
 〇利用者と地域をつなぐ
 〇積極的に地域に出向く

 児童相談所や、市町村の保健センターに相談することは親にとって敷居が高いことであり、予防的な観点から見ても、日常的な会話ができる関係性の中で困りごとを相談できる支援者が大切。

<ワーク>

事例検討

 事例を基に各グループで支援方針を立て、模造紙にエコマップを作成し、ポスターセッション形式で全体共有した。

◇事例概要
 母子家庭の母親Aさん(34)は、離婚後実家で実母(65)、長男(4)、次男(1)と暮らしている。一家の生計はAさんのパート収入、公的年金・手当等。長男は保育園から発達について指摘を受けているが、Aさんは障がいという認識ではないため、園に不信感がある。家で主に長男の面倒をみている実母が体力的に限界を訴えている。

 事例の家庭が抱えているストレッサーと、家庭を支えている社会的資源のバランスを考え、今まではそのバランスが崩れてしまってから介入を行っていたが、予防の視点で考えるとバランスが崩れそうになっている段階で介入を行う。この際支援する方法としては、金銭的な面で支援する制度があることを伝えたり、関係が悪化している相手との間に入り関係を修復したりするなど、様々な支援の方法が考えられる。また、支援者一人、一つの施設だけで家庭を支えるのではなく、他機関とつながり、連携して支えていくという視点も大切である。


  ワークの様子 IMG_2844.JPG

感想

  • 日々の業務の中で見えなくなっていた、大きい視点を得ることができた。社会的な役割を担っているんだということを再確認することはやはり大事だ。研修は本当に必要不可欠だと思う。
  • 現在している内容の裏付け、支援の必要な理由を理論で教えていただいた気がします。説明がわかりやすかった。
  • 親にとって話しやすい相手になることも支援になると分かった。
  • 地域子育て支援事業がいかに重要か、自分がこれからさらにどのように活動していけばいいのか、学ぶことが出来た。虐待の予防、地域との関わりへの橋渡しなど、様々な役割を担っているのだと知ることが出来た。
  • 地域との関わりが、子どもの成長に必要なことは理解しているが、現実とのギャップ(知らない人とは話してよい等)に、どうしたらよいのか悩んでしまう。支援者としての対応も難しいと感じることが多い。

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