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とくしま安心子育てサポータースキルアップ講座(サイコロジカル・ファーストエイド研修)

日時

平成27年10月23日(金)10時~17時

場所

ときわプラザ フレアとくしま研修室

参加者数

31名

「サイコロジカル・ファーストエイド研修~心のケガの応急手当~」

講師 : 大澤 智子さん(兵庫県こころのケアセンター 研究主幹)
内海 千種さん(徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・ 
サイエンス研究部 准教授)
*大澤先生は、アメリカ国立PTSDセンター版PFAを指導できる日本で唯一の講師です

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 徳島県では、2011年の東日本大震災の発生をうけて、災害後の子どものこころを守れる支援者を養成することを目的に、県内の子育て支援関係者を対象に、「被災児童保育ボランティア養成講座」を開催してきました。
 さらに、平成25年度より、講座を全回受講した支援者を「とくしま安心子育てサポーター」として登録することになり、平成27年度終了時点で44名のサポーターが誕生しています。
 そして今年は、サポーターのスキルアップを目的のひとつとし、災害直後から活用できる、こころのケガの応急手当「サイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid)」略称“PFA”を学ぶ特別講座を開催しました。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)とは

 災害やテロの直後に、子ども、思春期の人、大人、家族を支援する際に使用できる効果が知られた方法を、必要な部分だけ取り出して使えるように構成したものであり、その内容とは<回復の場を整える>こと。突然の事態に右往左往している人に対して、その人が困り事を解決していけるよう環境を整えることで、その人自身の力をもって回復していく力を発揮できるよう、サポートする。

活動内容① 被災者に近づき、活動を始める

 被災者に負担をかけない共感的な態度で、こちらから手をさしのべ、関係を作る。こちらから、というのは、まず、多くの人は自分が支援対象者だとは思っていない(=支援者がじっと待っていても来ない)ため。
 この時大切なのが、自己紹介。当たり前のことだが意外と抜けてしまいがち。
 また、相手が誰で、支援者が関わることで、周りの人がその支援対象者をどういう目で見て、何を言うのかというところにも思いを巡らせる必要がある。

活動内容② 安全と安心感

 当面の安全を確かなものにし、被災者が心身を休められるようにすることが目的。例えば、社会的な快適さや他の被災者との繋がりを提供したり、必要な情報を提供するなどがある。情報提供に関して重要なことは、自分が所属している組織が公式に発表している情報のみが、支援者に対して伝えられる情報であるということを常に念頭に置くこと。こういった時は、情報の混乱が最もこわいため、例えばネットで見たり噂で聞いたものを「そうらしいですよ」「たぶん~じゃないかな」などとは伝えてはいけない。

活動内容③ 安定化

 圧倒されている被災者の混乱を鎮め、見通しがもてるようにすることが安定化。安定化を必要とする人というのは、分かりやすく言い換えると動揺している人。生気のない虚ろな目をしているとか、怒りや悲しみなどの強い情動反応を示すなどのサインが現れていることが多い。
 安定化に向けたステップとして、呼吸によって相手の興奮を鎮めていくのも有効な手段。興奮とは、交感神経(言い換えればアクセル)と副交感神経(ブレーキ)が、強いストレスによってバランスが崩れて起こっている。これを、ゆっくりと深い呼吸によって整えることができる。

  • 1・2・3 で吸って、 4 で止める、 5・6・7・8・9・10 で吐き出す
    (息を吸う時間の倍の時間をかけてゆっくりと吐き出す呼吸を繰り返す)

活動内容④ 情報を集める

 周辺情報を集め、被災者がいま必要としていること、困っていることを把握する。そのうえで、その人にあったPFAを組み立てる。例えば、眠れているのか、食べているのかなど。ただし、聞き取りの中で災害関係の経験について明らかにする際は、トラウマ体験の詳細を聞き出したりしないなど注意が必要。

活動内容⑤ 現実的な問題の解決を助ける

 いま必要としていること、困っていることに取り組むために、被災者を現実的に支援する。
 この活動の中で、被災者と共に達成可能な目標を設定することも重要な意味をもつ。災害という、突然の出来事に対処できなかった自分や判断を誤った自分というものが、被災者自身を苦しめる要因のひとつになっていることがある。そのため、達成可能な目標を設定し乗り越えることで、自分は自分の状況をコントロールできるという自信を取り戻すきっかけになる。

活動内容⑥ 周囲の人々との関わりを促進する

 家族や友人など身近にいて支えてくれる人や、他の支援を与えてくれる資源との関わりを促し、その関係が長続きするように援助する。

活動内容⑦ 対処に役立つ情報

 苦痛をやわらげ、適応的な機能を高めるために、ストレス反応と対処の方法について情報提供する。災害等に関することで、現時点で分かっていることを説明したり、救援活動に関する情報(いつ、どこで、どんな支援が受けられるのか)を提供したりする。また、被災者に起こりやすい反応(ストレス反応)とその対処法などを紹介することも、被災者が自分自身を理解するために役に立つ。

活動内容⑧ 紹介と引き継ぎ

 被災者がいま必要としている、あるいは将来必要になるサービスを紹介し、引き継ぎを行う。災害前からサービスを提供している組織と被災者が再び関係が取れるよう支援する。

提供者のケア

 細く長くケアを続けることが大切になるため、そのために支援の提供者が、「個人・自分1人にできることなんてほとんどない」という心構えでいなくてはいけない。〇〇ができるのは自分しかいないとか、みんな休憩をとっていないのに自分勝手なことはできないとか、考えてはいけない。まずは、支援者自身が自らのことを大切にする意識をもつこと。

最後に

 大澤先生より、「PFAは、専門家につなぐべき部分はつないで、ちょっとした隣人としての関わりかたとして使ってもらえると思う。また、個人で活動をすることは決して推奨していない。適切な支援者に対する仕事の割り振りや、責任の所在がはっきりしているところを判断して、そこで活動するようにしてほしい」とまとめられた。

感想

  • とても分かりやすく説明していただき、参加してよかった。
  • 実体験に基づいた話しも含め、貴重な講義が受講できた。演習があることで、参加型でコミュニケーションをとりながらの研修でよかった。
  • 自分が被災者となった場合、果たしてどう動けるか、自分を守ることは悪いことではない、ということにも安心できた。1人じゃない、仲間がいることでできることを再確認できた。
  • 今回、学生さんと一緒に受講し、演習を通じて関わりをもてたことで、実際には一番年代的に中心にな
    っていくであろう世代の人がしっかり学んで意識高くされていることを実感し、とても心強く思った。
    また、PFA研修の内容はどんな立場の人であろうと必要な内容だと思った。

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