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平成29年度 地域子育て支援者専門研修会

日時

平成29年11月17日(金)10:30~15:00

場所

ときわプラザ 研修室

参加者数

56名

「赤ちゃんに学ぶ子どもの発達」

講師:小西 行郎さん(日本赤ちゃん学会理事長、同志社大学赤ちゃん学研究センターセンター長/教授)

 午前の講義では、最近の発達障害や喘息の増加は何に特徴があるのかという観点から睡眠の重要性について、IMG_1819.JPG
午後からの講義ではヒトのはじまりを多角的に研究する「赤ちゃん学」の見地から赤ちゃん目線の子育て支援・適切な親子の関わり方を学びました。

<午前講義>

最近の発達障害や喘息の増加は何に特徴があるか

・1つの原因を調べるだけでは説明はつかない。増えてくるという背景に何があるかを考えないといけない。 (遺伝子では無理。大きな変動はない。)
・成長と共に変わってゆくが、おそらく始まりは胎児期から。
・子どもを取り巻く社会に大きな変化が起こっているはず。それが何かを考えてから保健行政なり子育て支援があるべき。

今の子どもたちの現状の中にある問題

不登校問題
 始まりは小3,4年だが最近小1が増えてきている。
 原因の1つに睡眠障害(症状:朝食欲なし。午前中の活動ができない。頭痛、立ちくらみ。昼頃から楽になり夕方から夜にかけて絶好調)。不登校のきっかけは人間関係であっても不登校継続の理由は生活リズムの不調によるものが大きい。

発達を阻害する睡眠障害
 最近3,4歳児に睡眠覚醒リズムの不調パターンが見られる(ゲーム中毒)。睡眠の乱れ始めは寝だめに起因。毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることが大事。夜更かしは脳の発達に有害であり、夕ご飯が遅いと糖尿病を招く。そして、糖尿病と睡眠障害と発達障害の3つが重なってくる子が多い。さらに起立性調節障害、ビタミンD不足(日光不足)からくるクル病、喘息等も増えている。発達障害のごく初期の症状は睡眠障害の症状に似ている。睡眠障害リスクの高い子に対しては親の生活リズムも気をつけるべき。

早夕ご飯・早寝・早起き
 体全体のリズムが崩れている元は睡眠。早夕ご飯・早寝・早起きが大事。夕食が遅いと末梢の体内時計(胃・腸・肝臓)と中枢の頭の体内時計が喧嘩している状態になり全身の時計が時差ぼけになる。
 保育園で落ち着きなく集団行動ができない衝動性の高い子どもが増えているが、これらの問題行動は自閉症や睡眠障害の症状に似ている。小中学校では部活、朝練、スポーツ少年団、塾のあり方をどうするか。子どもだけでなく大人の問題として社会全体で考えて育児支援するべき。

<午後講義>

赤ちゃんの不思議を研究する「赤ちゃん学」

 小児科学、ロボット工学等様々な異分野研究の融合による新しい学問領域であり、21世紀最大の謎の一つといわれる赤ちゃんの運動・認知・言語および社会性の発達とその障害のメカニズムの解明から、ヒトの心の発達までを対象とする学問。-赤ちゃんを知ることは人を知ること-

胎児期
◇5週目で動き始めるが大脳はほとんど機能していない。動くことで脳は作られる。
◇6週目には手足ができ手には水かきがついているが生まれてくるときにはなくなっている。胎児は無駄なものを削って発達している。
◇20週目くらいまでにほとんどの運動は出そろう。
◇感覚の出現
 触覚・関節固有覚→聴覚→痛覚→味覚→視覚 の順に出現
 胎児にとって重要な感覚は触覚・味覚・臭覚
 生まれてからお母さんを確認するのは臭覚。お母さんの母乳の匂いがわかる。
 触覚で大事なのは「触る感覚」。触ることで他者がわかる。触覚は全身にある。
 赤ちゃんはお腹の中で動きながら「自分」と「自分以外」を知り五感を発達させて生まれてくる準備をしている。
◇表情
 ほとんどの表情が確認されるが感情は伴っていない。生まれてきてから親との関係等で感情が育ってきて表情に繋がる。
 「表情」に「表情」を合わせる→「表情の共有」→「共感」が生まれる。赤ちゃんから働きかけているので親はそれに応えるだけで良い。
◇37,8週でレム睡眠ノンレム睡眠が確立。未熟児に発達障害が多いのは睡眠リズムができる頃に母胎から離されるからかもしれない。

新生児期
◇顔の認知 4,5ヶ月でわかる。1ヶ月児の視力は0.01
◇人の動き 歩く人の姿を見た子は歩ける。動きを理解している。
◇色・音・数 1ヶ月で色の組み合わせがわかる。5ヶ月児は3つまでの数を理解(自分・ママ・物)。5~6ヶ月で音楽に合わせてからだを揺する。
◇無意識から意識的運動へ
 意識的な運動は無意識に始まる。水を飲むとき意識していないので飲めるが、自閉症の子は「意識して飲む」と答える子が多い。呼吸をするのとしゃべるメカニズムは一緒。

乳幼児期の育児・保育に望むこと

 ・生活リズム(睡眠と食事)の確立(乳幼児期は子どもの発達の土台作り)
 ・子どもが自ら学習することを邪魔しない(自我の出現と自己主張の始まり) 
 ・周りの大人は動かないで安全基地になる(先回り・後追いをしない)

 赤ちゃんには、自ら動き気づき育つ力(主導権=赤ちゃん)を持っているので、その道のりを邪魔しないでこうすべきこうあるべきといった思いを一度解き放つことも必要。そうすれば育児が楽になるのではないか。感覚や感情論に訴える育児ではなく科学的に立証した上での育児が大事。語り返し 触り返しの育児から親子の絆は自然に生まれるものである。

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感想

  • 科学的な検証に基づいた視点で支援することの大切さを改めて認識できた。最新の子育て方法が必ずしも正しいとは限らない。
  • 赤ちゃんが育つチカラを持っていることが再発見できた。子育て支援を利用される方に一生懸命押しつけていた自分がいなかったか反省した。
  • 乳幼児期の睡眠が発達にとても大切だと知ったこと。改めて生活リズムの重要性がよく分かった。
  • 頑張りすぎた。「ただ見守っていればいい」の言葉にほっとして涙が出た。
  • 発達に合わせた育児が大切だとよく分かった。お母さん達からよく質問のある睡眠や食、発達等のメカニズムからお話いただき、今後保護者の方に伝えてあげたいと思った。小児科医としての専門的意見が聞けて良かった。

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