日時
令和元年8月22日(木)13:00~16:00
場所
ときわプラザ 研修室1.2
参加者数
28名
「子どもたちの復興~被災地における遊び場づくりの実践から~」
講師:天野 秀昭さん(NPO法人日本冒険遊び場づくり協会評議員)
子どもにとっての遊び場の重要性や避難所等での子どもの遊び場の確保の必要性など、被災地の住民と子どもの遊び場支援をされてきた体験をもとに、災害時における子どもの行動を踏まえた支援のあり方について学びました。
冒険遊び場?プレイパーク?聞いたことありますか。
始まりは、世田谷。我が子の子育てが自分たちの子どもの時とあまりに違い、本当にこれでまともに育つのかと疑問を感じた親たちの手によって、今から40年以上前に始められた。
遊ぶことについて
●羽根木プレイパークの遊び場
・基本:子育ては外でやる。既成の遊具なし、建物も手造り。
ベーゴマ・くぎ刺しは、月1回大会があり、グランドチャンピオン大会まである。
昔の引き戸や廃材を使って作った手作り遊具。
・プロセス:本当の遊びはプロセスの中にある。
最近の子は、お金で買うからプロセスを見る機会がない。
「私の世界」を作るため、遊ぶことは何より重要である。
●今の子どもの状況
・大人が評価➝学校、放課後、休日、習い事
遊び場➝評価しない・ほめない⇒面白がる気持ちを伝える。
挑戦しようとしたかどうかが大事、できたとかいう評価につながることは言わない。
災害の中の子どもたち
●阪神淡路大震災
国際NGOとプレイパークが合同で公園での支援活動を開始。
1か月から1か月半経ったとき、おばさん達がすごい勢いで震災の話をしゃべり出した。人間はあまりにすごいことが起きると言語化できない。言葉にすると整理がつくので整理して理解して、落とし直していく。大人のしゃべるのと同じように、子どもに震災ごっこが出た。「震度1じゃ、2じゃ、3じゃ、4じゃ、5じゃ、6じゃ、7じゃ」で机の脚を折る。理解した大人は2割、大半はやめろと怒られた。
ケアする前にケアしなきゃいけない状況がどんどん増えている。何かあったときにどうするより、そうならないようにストレスに強い子をどう作っていくかが重要である。
というのが前提だけれども、子どもには自分自身でケアする力があるということを阪神淡路大震災で確信した。
自分のタイミングで自分自身の震災体験を「遊び化」できれば深刻にならない。
抑えられると潜在化していく。
●東日本大震災
気仙沼に常設の「あそびーば」を開設し、4月26日にオープンした。遊べたその日は避難所がすごくにぎやかになり、「子どもの野生が戻った。」と避難所運営責任者に言われ、うれしかった。
今は、地元の人が引き継いで運営している。栽培用ビニールハウスを立てて、じいさんとばあさんがたくさん集まって「あそびーば」の資金稼ぎにといろいろ作っている。一緒に遊ぶのでないけど、子どもと時々会話したりして、良い空間になって、地域の大きなコミュニティになっている。
プレイカー4台で広い東北を出前して活動した。それまでお母さんから離れられなかった5歳の子どもが遊びに来て、お母さんが涙して喜んでくれたり、プレイカーが行っただけで空間が変わる。
子どもがやりたい気持ちをどう引き出すか、エネルギーを蓄えていくのか。
こういった環境を大人がどうやって作れるのか試されている。
感想
- 今回初めて参加したのですが、非常に良かったです。私は学生で、教育に携わっていきたいと考えているのですが、これからの生活で今回の講座は必ず役に立つと確信しました。大学での研究内容や、教育のあり方について見直していけるのではと感じました。子どものために何かできることはないかなど改めて考えることもできました。
- 子どもにとっての本当の意味での”遊び”が学べた。「やりたい、面白そう、楽しい」“生きている実感”を感じられる命の根源を奪ってしまっていることに気づけた。
- とても納得のいく内容で改めて子どもの育ちに対して考え直し、見守れる立場でありたいなと思いました。
- 遊びの概念と必要性がよく理解できた。災害時だけでなく日常の生活から災害に強い子どもをつくるということが大事だなと思った。とても勉強になり、気づかされる事の多い講座でした。