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令和元年度 地域子育て支援者の専門研修会

日時

令和元年11月25日(月)11:00~15:00

場所

アスティとくしま内
 ときわプラザ 研修室

参加者数

57名

「養育に困難を抱える家庭への支援の方法を考える」

講師:倉石 哲也さん(武庫川女子大学文学部 教授)

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 「地域子育て支援者の専門研修会」は、日頃の活動を振り返り、より専門的な見識を深め、高いスキルを身につけることを目的に開催しています。今回は、養育に困難を抱える家庭への支援の方法について学び考えました。

<講義>

 「愛着」から保護者支援を考える 

愛着とは
 子どもの機嫌の悪い時(不安や危機的だと感じる状況)に特定の養育者(親、保育士、支援者など日常的に子育てに関わる人)との間で情緒的な安定を取り戻そうとする行為。
→愛着がしっかりベースにあると、人に頼ることができるようになる。機嫌の悪い時に養育者との関係で落ち着くことができるか。

愛着の発達
 愛着が育っていくベースは、赤ちゃんが12週から1歳くらい(自分で動けるようになるまで)が非常に大事。動けない時に助けてもらった経験がないと、動けるようになった時に助けを求めなくなる。

親(養育者)の愛着スタイルと子どもの愛着行動
 ・安定型(全体の7割を占める)
   親の子どもへの感受性や応答性が日常的に高く、子どもと落ち着いたやり取りがある。
   子どもは養育者と離れる際に一時的に泣くが、再会によって安定しやすい。

 ・軽視型・回避型(不安定なタイプ・全体の約10%)
   親は子どもや支援者に対して全般的に拒絶的で、子どものマイナス感情や身体接触を好
  まない。
   子どもは養育者と離れても混乱しない。親がいなくなっても一人で遊んでいる。困った
  時もSOSを出さない。

 ・囚われ型(不安定なタイプ・全体の約15%)
   親の子どもへの関わりが自己都合。子どもと波長を合わせるのが苦手。
   子どもは情緒不安定で、親と再会して抱き上げられてもなかなか泣き止まない。  

未解決型・無秩序型(不安定なタイプ・全体の約5%)
  親は子どもの行動に敏感であったり、抑うつ的であったり、精神的に不安定。
  子どもは衝動的、暴力的になったり、思春期にはひきこもり傾向になったりする。

愛着の回復を目的とした保護者支援
 ・親の愛着スタイルは変わらない
   愛着スタイルは育てられ方による。抱っこされた経験の少ない親は抱っこしようとし
  ない。親のスタイルを認めていく寛容性が重要。

  ・子どもの愛着行動を変えていく
    親の愛着が不安定でも支援者が安定していれば子どもの発達に影響しないし、むしろ
   良い方に変わっていく。

  ・支援者の愛着行動の了解を得る
    支援者は子どもを「ケア」する専門職である。親と対立するのは良くないが、親から
   「甘やかすのは止めてください」と言われても、支援者は「子どもが不安定になった時
   は手を貸し、場合によっては甘やかして気持ちを立て直して頑張ってもらう」と言って
   もらった方が良い。

     ・タイプ別対応
      拒絶/軽視型
     親は自分のことで頭がいっぱい。子どものことよりも親の関心事を聞いた方が親と繋
   がることができる。
     不安定型
     親は子どもの行動に敏感。うまくいかないことが多いが、支援者はそれを受け入れ、
   子どもの心情を丁寧に解釈し代弁する。
     未解決型
     親は不信と不安が強い。支援者は親の安心する対応をしなければいけない。

   倉石先生図.png

 ・保育所・こども園・児童施設を親の安全基地に
   ①支援者との安定した関係性
     親は、シフト制で朝夕の支援者(先生、保育士)がわからないと不安を増す。(朝は誰
    なのか、夕方は誰なのか、親が不安で尋ねてくる。)
   ②多くの職員による安定した見守り(あいさつ、声かけなど)
     1対1の関係ではなく、色んな人に声をかけられることにより見守られ感覚が付く。
     (ある先生はあいさつしてくれたから信頼できるが、別の先生は目を伏せたからとい
     う理由で不安になる。)
   ③個別職員との波長合わせ
     個別に対応する職員は親の雰囲気や会話などに波長(親の関心事を話題にする)を合わ
    せていくことによって、親は承認された感覚になる。
   ④支援者の落ち着き
     親がたまに興奮することがあるので、安定した関わりを持つ。

  以上のことを行った上で、親から「愚痴」が出てきたらOK(親との関係ができてくる時)
  愚痴は大人の甘えの行為であり、一般的に信頼する人にしか言わない。
  →子育てと関係ない話であっても愚痴を聞き止めることが大切。

  親に自信を回復してもらう、自己イメージを得てもらうためにどうするか。
                  ↓ 
 役に立つ体験・評価を受ける体験・つながりを持つ体験を通して親に活躍の場を用意する。 
          (周りから評価された経験が少ない)
                  ↓
 何かの役割(簡単な手伝いなど)を担わせ、ありがとうと言える関係をつくることができるか。        
                     

感想

  • 愛着についての内容がとても具体的でわかりやすかった。
  • 愛着形成、回復について大切なことはわかっていたが、具体的に説明いただきわかりやすかった。
  • 支援センターとして、子どもの支援はもちろん親の支援もとても必要なので、親の心理やそれに伴う子どもの心理がわかり、とても勉強になった。
  • 子育て支援の研修会を何度か受けてきて、横のつながりが大事だと聞いていたが再認識できたように思う。保護者から話を聞き出す大事さ、難しさを感じ、考えることができて良かった。
  • 養育者の愛着スタイルのスタイル別に分けて考える支援の仕方や性格をつかむ手がかりになる研修だった。

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