日時
令和3年10月29日(金)14:00~16:00
場所
徳島県職員会館
参加者数
21名
「発達障がいと防災について」講師:赤壁省吾さん(社会福祉法人みらい就労グループリーダー)
大規模災害時等における発達障がいのある子どもやその保護者への対応について学びました。
講義概要(要旨)
発達障がいといっても人それぞれ
■発達障がいは、脳機能に何らかの機能の偏りがあることによって生じる障害と言われている。
・知的水準の違い、こだわりの対象、感覚調整能力の違い、年齢の違い、性別の違い、障がい受容の違い、養育環境の違いなど
災害が起きたたら??
■発達の特性が強く出やすくなります。
・感覚の問題は、ストレス、不安、疲れ等によって、過敏さは更に過敏に、鈍麻さはさらに鈍麻になり、感覚の偏りによって自傷や常同行為をさらに過度にする。
避難所では
■トラブルの例
・走り回る、急に走り出す、大声を出す、その場にそぐわない発言で相手を怒らせる、環境が変わり夜眠れず騒ぐなど
■こんな場合は・・・
◇変化が苦手な場合が多いので、不安から奇妙な行動をしたり、働きかけに強い抵抗を示すことがあります。
⇓
□このように対応
◇して欲しいことを具体的に、穏やかな声で指示します。
例:○「このシート(場所)に座ってください。」
×「そっちへ行ってはダメ」
◇スケジュールや場所の変更等を具体的に伝えます。
例:○「○○(予定)はありません。□□をします。」
×「強引に手を引く」
防災キャンプの経験から
■発達障がいのお子さんに対する避難訓練のポイント
・恐怖を教える ×
・真剣にしなさい ×
・短い時間を待つ ○
・避難場所に移動する ○
・避難場所での待ち方を教える ○
■避難訓練での配慮
◇自閉症の子どもが避難訓練を嫌がったりトラブルを起こしてしまう場合には、以下のようなことが考えられます。
・避難訓練のような集団で整然と行動しないといけない活動が苦手
・実際には起きていない災害を想定しての訓練であるために活動の趣旨が理解できない。
・非日常的で見通しが持ちにくいので不安
・聴覚が過敏なためサイレンの音で耳ふさぎ
・集団でいることが苦手で他の生徒との距離が近いために苦痛を感じてしまう。
防災での配慮
■自閉症のお子さんは見えないこと、予測のつかないことが苦手です。場合によってはいつ地震や災害が起こるのか不安や恐怖になることがあります。
■「水害のときは高いところに逃げる」など、具体的な対策の仕方を知識として備えることが大切です。
■こんな場合は・・・
◇話言葉を聞き取るのが苦手だったり、困っていることを伝えられないことがあります。
⇓
□このように対応
◇文字や絵、実物を使って目に見える形で説明する。一斉放送だけでなく、個別に声をかける。簡潔に具体的に話しかける。
例:○お母さんはどこですか?
×何か困っていませんか?
災害時救助にあたる方へ
■急に大きな混乱(パニック)をみせる時がありますが、それは不安の表れです。本人は説明できないため、原因がすぐに分からないかもしれません。
・緊急の場合は、「大丈夫だよ」と声をかけ、安全な場所に移動させる。
・安全な場所では、無理に抑えつけず、落ち着くまで見守る。
・興味を切り替えられるようなものをすすめてみるのも一つの方法(例:食べ物、飲み物、ゲームなど)
・自閉症の分かる専門スタッフに対応を頼む(例:特別支援学校・学級、自閉症施設、発達障害者支援センターなどの職員等)
■災害時の情緒的反応のひとつにPTSD(外傷後ストレス障害)があります。非常に強い恐怖、驚愕、絶望を伴う体験をした後に起こる特徴的な症状であり、体験後数週間から数年にわたって持続したり、数ヶ月以上たってから現れることもあります。子どもに見られるPTSDの症状は次の3つです。
①恐怖体験を思い出して混乱する。(フラッシュバック)
②反応が低下する:災害の恐怖体験を避けるため、人との接触を嫌い、周りの人に反応しなくなる。
③覚醒レベルが上昇する。:恐怖が沸き起こり落ち着かなくなりイライラし、情緒不安定になる。
まとめ
■理解者の存在の重要性
■環境の整備
■人と人のつながりが防災
感想
- 発達障がいについて、具体的かつ分かりやすい説明だったのでよく理解できた。
- 発達障がいのある子どもへの具体的な対応を学べたので、日々の活動の中で活かしていきたい。
- 防災においては、情報の共有と人と人のつながりが大変重要であると理解できた。
- より具体的に災害時の対応を学ぶため、チャンスがあれば防災キャンプに参加したいと思う。
- 相手の心に残る握手の仕方や背中のなで方などの話もとても参考になった。
- 災害時の避難所において、自分がなすべきことがよく分かった。