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令和3年度 地域子育て支援者の専門研修会

日時

令和3年12月13日(月)14:00~16:00

場所

徳島県職員会館 2階 会議室

参加者数

26名

「子育て世代のおかれている状況と求める支援について」
  講師:島田 俊朗さん(徳島文理大学短期大学部保育科 准教授)

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講義概要

親子関係・家庭教育が話題になると…
「今時の(母)親は子どものしつけについて何も考えていない」
「家庭の教育力の低下」
いわれているのは「お母さん」、父親は育児参加であって主体にはなれていない

育児産業の状況

 ●離乳食・・・月齢に応じた栄養があって需要がある。
 ●知育玩具・・・年齢に応じた商品がある。
 ●育児用品・・・便利で豊富な商品がある。
 ●育児書・・・少子化といわれながら書店にはコーナーがある。

だけど、育児が楽になった話はあまり聞かない
 

 学習費=学校教育費+学校給食費+学校外活動費
 学校教育費:授業料、学級費、PTA会費、通学交通費、制服、文房具、学用品・・・
 学校外活動費:補助学習費(家庭教師、塾、問題集等)、その他(体験活動・地域活動、芸術・文化活動等)

 学校種別学習費総額の推移(2018年)

  幼稚園(3年) 小学校(6年) 中学校(3年) 高校(3年)
公立  22.4万円  32.1万円  48.8万円 45.7万円
私立 52.8万円 159.9万円 140.6万円 97.0万円

・公→公→公→公の場合  541万円 +大学
・私→私→私→私の場合  1830万円 +大学
 子ども一人あたりに大きなお金がかかる。
 

公立幼稚園(年間) 私立幼稚園(年間)
学習費総額  22.4万円 学習費総額  52.8万円
学校教育費  12.1万円 学校教育費  33.1万円
学校給食費  1.9万円 学校給食費  3.1万円
学校外活動費  8.4万円 学校外活動費  16.6万円

●子どもは減っているのに多くの育児書や育児雑誌→一生懸命情報を求める親の姿
●多くの習い事を利用する親→子どもの成長に期待する親の姿
(5歳で子どもの2/3が習い事をしている。どの調査でもスイミングが多く、英会話等が増加の傾向。体を鍛える、情操教育以外に人づきあいが参加の理由のひとつ)
 

育児産業が盛んな背景

●親は少ない子どもに集中的にお金をかけられる
●子育て援助経験の不足(少子化、未婚、晩婚化)年の離れたきょうだいの世話の経験なし。また、自分の親の経験も当てにできない。初婚年齢が高くなるほど少子化が進む
●就学前の習い事の費用はそれほど高くない
●乳幼児対象の教育は親にとって成果がみえやすい。できなかったことができるようになる。→親自身の自己充足感、達成感、生き甲斐→子どもはよりよく成長しているし、自分も一生懸命子育てしている
●「子どもをよりよく育てるのは(母)親の責任」←社会からの無言のプレッシャー
女優三田佳子の次男の事件や英語講師殺人事件、みのもんたの次男の事件から「親の責任」がどこまであるのか
突き放し派・・・成人すれば、就職すれば独り立ち
親の責任派・・・自分の子どもである限り、いくつになっても親は親、子は子
●子どもがよりよく育っていないと・・・子どもを育てることに強いストレスが生まれ、疲労感につながる→育児不安 虐待
多くの親が育児に対して一生懸命の裏返し、無関心な親が育児不安になることはない

児童虐待について

●児童虐待相談処理件数の増加←DVの定義の変化、「189」の普及

今時の子育て事情

●豊富な育児用品、多くの子育て支援サービスにもかかわらず、育児不安、疲労感、ストレスを感じる親は増えている(虐待?)
 ほとんどの親は子育てに一生懸命(きちんと育てようとするあまり情報に振り回される)
 「家庭の教育力の低下」「親が子どもをしつけられなくなった」→普通の母親を追い詰める呪文
●今、お母さんが一番したいことは何ですか?
 ・一人でゆっくり外にでてみたい。
 ・旅行に行きたい。できれば子ども抜きでいきたい。
 ・スポーツをしたい。子どもと一緒ではなく、自分だけでしたい。

今求められているのは・・・

1.社会全体で子どもを育てるという子育て支援
 母親が密室で一人悩みながら子育てしないですむネットワークづくり 
2.「おせっかいな人」の存在
 声かけだけでも違う
3.母親の気持ちを受け止め、育児の喜びや悩みを共感する共感的支援
  子どもが生まれることによる窮屈感を和らげる                                                                                                                                                                    

感想

  • 親が育児不安になる背景について知ることができた。
  • 子育てのことで詳しいデータがたくさんあった。支援する立場は、アドバスじゃなく共感が大事。
  • 在宅施設に来室してくれた親子の育ちを見守り「大きくなったね」「ハイハイが上手になってきたね」など、頑張っている姿を認めて声かけしていきたいと思った。
  • 共感的支援の大切さ、必要性がよくわかった。今求められることが整理できてよかった。
  • 子育てについての情報が多く、その通りでないといけないと思い込んで振り回されていることに気づかされた。同じように悩んでいる保護者は多いのだろうと思った。
  • 子育て世代の状況がよくわかった。まだまだ母親だけが育児の責任を背負っている状況がある。

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