トップ支援者・団体向け研修会情報研修会報告令和4年度 第2回地域子育て支援ネットワーク研修会

令和4年度 第2回地域子育て支援ネットワーク研修会

講座の様子

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日時

 令和5年2月17日(金)13:00~16:00

場所

 徳島市山城町東浜傍示1-1
  徳島県立男女共同参画総合支援センター 2階 学習室

参加者数

 27名

        

 子育て支援者としての専門的な見識を深めるとともに、各子育て支援関係者が互いに必要な情報を共有し、子育てを地域全体で支え合う仕組みづくりを共に考える機会とすることを目的に「令和4年度第2回地域子育て支援ネットワーク研修会」を開催しました。今回は、徳島大学大学院准教授の橋本浩子さんを講師に迎え、「子育てに困難を抱える親、家族の現状と支援」について学ぶとともに、グループワークでは、「支援者間の連携における課題と工夫」をテーマに参加者で話し合いました。

講演

1 子育てをしている家族の現状
(1)日本における少子化の現状
・少子化が進むなか、児童のいる世帯の全世帯に占める割合は、約30年間で半減している。 1989年:41.7%→2021年:20.7% 「厚生労働省:人口動態統計」より

(2)世帯の就業状況   
・子育てをしながら就業している母親が増加している。 2004年:56.7%→2021年75.9%(非正規含む)「厚生労働省:国民生活実態調査」より

(3)家庭における子育て   
・子育ての主体は、平日、休日ともに女性が主体となっている割合が約9割⇔男性の回答では、休日はほぼ半々で分担していると約4割が回答「文部科学省委託調査:令和2年度家庭教育の総合的推進に関する調査研究報告書」より

2 子育てに困難を抱える親、家族の現状と関連する要因   
(1)子育てに悩みや不安を感じる親   
・女性の約17%がいつも感じる、約60%がたまに感じると回答。男性の約10%がいつも感じる、約50%がたまに感じると回答。「文部科学省委託調査:令和2年度家庭教育の総合的推進に関する調査研究報告書」より 

(2)子育てに自信が持てない背景   
・「子どもの特性や発達の特徴を十分に理解できていない」、「子育てに関する知識はあるが、応用的に活用できない」、「様々な情報があることで、かえって混乱し、ストレスが高まる」、「子育てに関して相談できる相手がいない」など

(3)相談相手がいない親   
・2~3ヶ月児を持つ母親への調査で、19.8%の母親が、「育児について気軽に相談できる人がいない」、「心配事や不安について助言してくれる人がいない」と回答している。  申(2015)

(4)支援をする上での困難   
・子育てが困難になっていることを親が認識していない→支援の必要性は高い⇒しかし現状に対して親は改善の必要性を感じない、介入を望まない⇒支援の難しさ

(5)支援者側の課題   
・関係機関との連携:支援を行っていく上で連携は不可欠であるが、子育て支援に関わる様々な職種(保健師、保育士、看護師、家庭相談員など)がそれらの難しさを感じている。

・支援者としての知識、技術、経験:支援者が自分自身の知識、技術、経験に不十分さを感じている。

3 困難が及ぼす影響   
(1)育児不安がもたらす影響  原田(2006) 
・たたく、つねるなどの体罰の多用、育児でのイライラ感、育児での負担感、好ましくない親子関係、子どもから離れたい、生まなければよかった など

(2)虐待が子どもに及ぼす影響 
・身体的影響:骨折、出血などの身体的損傷、栄養障害、体重増加不良、低身長 など

・知的発達面:成績の不良、学習面の問題 など

・心理的影響:愛着の障害、対人関係の障害、自尊心の低下、心的外傷後ストレス障害 など  

(3)親への影響  鈴木(2014)
・罪悪感、無力感、自信喪失、子育てに対する精神的負担の増大 など

 子育て支援の現状と親、家族のニーズ   
(1)支援に対する親のニーズ  大沼(2003)、武市(2005) 
・保育・託児:保育施設の充実(施設数、保育時間、サービス内容など)、気軽に託児ができること、子どもが病気になったときの看護休暇制度の充実

・経 済 面:扶養手当や扶養控除の拡大、乳幼児の医療費の補助の拡大、保育料の減額

・そ の 他:交流の場、保育・育児サークルなどの情報提供、小児医療の充実

(2)制度の利用状況 
・一時預かり事業、ショートステイ、養育支援訪問事業:未就園児1人当たりでは1年間に、一時預かり事業は約3日、ショートステイは約0.05日、養育支援訪問事業は約0.1件の利用(令和元年度実績)→親のニーズはあるが、利用率は低い現状にある。 厚生労働省:児童、その保護者、家族を取り巻く環境より  

・地域子育て支援事業:全国に7,735ヶ所(令和2年)0~4歳の人口1000人当たり平均1.6ヶ所、第1子が3歳になるまでの子育て家庭の約50%が利用している。(令和元年度実績) 厚生労働省:地域子育て支援拠点事業の実施カ所数の推移)

(3)親が地域子育て支援拠点を利用する背景 
・子育てをしている親と知り合いたかった(71.9%)、子育てでつらいと感じることがあった(62.6%)、子どもの友達が欲しかった(61.2%)家族以外の人と交流する機会があまりなかった(57.2%)、子育ての悩みや不安を話せる人が欲しかった(55.4%)、大人と日常的な会話をしたかった(54.9%) 複数回答、NP0法人子育てひろば全国連絡協議会:地域子育て支援拠点事業に関するアンケート2015 地域子育て支援拠点における「つながり」に関する調査研究事業報告書

(4)多用なつながりをはぐくむ 
・専門職とのつながりだけでなく、子育てをしている親同士や友人、地域の住民など、各々の生活に根付いたつながりを育めるように支援していく。⇒子育て世代だけでなくあらゆる世代とのつながりをもてる地域づくり(多世代交流の場)

(5)支援を行っていくために 
・支援に携わる側への支援の充実(研修、職種間および関係機関の連携促進、マンパワーの充実、スーパーバイズなど)⇒支援者の困難感の軽減と支援力向上⇒子育て支援の充実

 

グループワーク

「支援者間の連携における課題と工夫」をテーマに様々な職種が混在するグループに分かれて話し合いました。

主な話題

1 集団での行動がうまくできない子どもについての保護者との関わり方の難しさ

2 関係機関との連携を進める上での個人情報の取り扱い方や情報漏洩問題が発生した場合の責任について

 3 新たに見直しスタートする「こども家庭センター」に関係機関連携の統括機関としての役割を期待

 4 児童虐待を認知した場合の児童相談所への通告にかかるためらいについて

 5 育児困難家庭への支援介入におけるタイミング、リスク判断、見守り継続等の重要性について

6 子育て支援拠点やファミリーサポートセンター等につながっていない層への支援強化の必要性について   

参加者の感想・意見等

 講演関係

  • 最近の子育て環境の動向等を含め、児童虐待の予防的視点や育児支援、関係機関の連携等について大変勉強になりました。
  • 様々なデータをもとに、子育て支援に関する現状を理解することができた。
  • 現在悩んでいる問題に関する話を多く聞けたので大変参考になった。
  • 支援者側が必要と思う支援と求められる支援の食い違いもあり、支援の難しさを感じている。
  • 困難を抱える家庭や支援の介入が難しい家庭も多くあると感じている。もっともっと地域全体で困難を軽減できるしくみや環境づくりが必要だと感じた。
  • 子育てに困難を抱える親かどうかの判断が難しいと感じているが、支援者として少しでも相手に心を開いて貰えることが大切だと思った。
  • 専業主婦から共働きへと女性の社会進出が進む一方で、子育てに関しては旧態依然として9割方女性が分担しているという現実が母親を孤立させ、子育てに困難を抱える親が増加している最も大きな要因だと思う。
  • 子育て関係機関の横のつながりの強化が母親の支援強化につながると思う。

 グループワーク関係

  • グループワークでの意見交換はとても良かった。職種を超えた内容の話が勉強になった。
  • 自分とは違った視点からの話を聞けたのが良かった。
  • 普段なかなか会えない関係機関の人と知り合えてよかった。
  • 関係機関の連携における個人情報の管理の難しさを感じた。
  • 子育て支援が必要だが保護者にその認識がないケース等の支援には特に関係機関の連携が必要だと思うが、介入方法や時期を誰が責任を持って決定するかという難しい課題は残っている。

 

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