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仕事と家庭の両立に関する法律

妊娠・出産で退職した場合

1 再雇用特別措置等(育児介護休業法第27条)

事業主は、妊娠、出産、育児を理由として退職した者について、必要に応じ再雇用特別措置等を行うよう努めなければなりません。

「再雇用特別措置」とは、その退職の際に就業が可能になった時に退職前の事業主に再び雇用されることを希望する申し出をしていた者について、事業主が労働者の募集又は採用に当たって特別の配慮をする措置をいいます。

妊娠中→産前産後休暇→育児休業→職場復帰→小学校入学まで

<妊娠中>

妊娠中の女性に対して、事業主は次のような配慮をすることが法律で定められています。

  1. 通院時間の確保(男女雇用機会均等法12条)
    事業主は、妊娠中及び出産後の女性労働者が本人を対象に行われる産科に関する診察や諸検査とその結果に基づいて行われる個人を対象とした保健指導を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。
  2. 医師などの指導事項を守ることができるようにするための措置(男女雇用機会均等法第13条)
    妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるように、勤務時間の変更、勤務の軽減、通勤の緩和、休憩などの措置を講じなければなりません
  3. 危険有害業務の就業制限(労働基準法第64条の3)
    妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性)を重量物を取り扱う業務や、有害ガスが発散する場所での業務など、有害な業務に就かせてはなりません。また、出産機能に有害な業務については、妊産婦以外の女性にも就業が禁止されています。
  4. 軽易業務への転換(労働基準法第65条3項)
    妊娠中の女性が請求した場合は、事業主は他の軽易な業務に転換しなければなりません。
  5. 時間外労働、休日労働、深夜業の制限(労働基準法第66条)
    妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、深夜業(午後10時から午前5時までに行われる労働)をさせてはなりません。また、変形労働時間の適用を受けていても妊産婦に対しては、フレックスタイム以外の変形労働時間の規定は適用できません。

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<産前産後休業>

  1. 解雇その他不利益取扱いの禁止(労働基準法第19条、男女雇用機会均等法第9条)
    産前産後の休業期間中及び休業後30日間は、解雇が禁止されています。また、事業主は女性労働者が出産し、又は産前産後休業を取ったこと等を理由に解雇その他不利益取扱いは禁止されています。
  2. 産前産後の休業(労働基準法第65条)
    • 産前休業…出産予定の女性は、本人が請求することにより出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から産前休業を取ることができます。
    • 産後休業…産後については、本人から請求がなくても産後8週間は原則として仕事に就かせてはいけません。ただし、出産後6週間を経過した女性が請求した場合は、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。
  3. 休業中の賃金
    法律で特に定めてはありませんので、労働者と使用者との話し合いにより取り決めることとなります。なお、健康保険に加入していれば、出産育児一時金(35万円)や、産前産後休業中に賃金の支払がない場合、一日につき標準報酬日額の60%(出産手当金)が支給されます。

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<育児休業>

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)に基づき、労働者が1歳に満たない子を養育するために一定期間休業することです。出産後、労働者から申し出のあった場合、事業主はこれを拒むことはできません。休業中は、事業主の賃金支払義務はなくなります。しかし、労使の交渉により、賃金等の支給をすることは可能です。

  1. 育児休業の対象者(育児・介護休業法第2条第1項・第6条第1項))
    育児休業の対象者は、1歳に満たない子を養育する男女労働者(日々雇用者を除く。)です。期間雇用者は、同一事業主に1年以上雇用され、子が1歳に達する日を超えて雇用されることが見込まれる場合、育児休業の対象となります。法律的親子関係があれば、実子・養子を問いません。また、妻が専業主婦や産後休業中であっても、少なくとも産後8週間までは男性労働者も育児休業を取得することができます。パートタイマーやアルバイトなど1日の労働時間が通常より短い労働者であっても、期間の定めのない労働契約の下で働いている場合は対象となります。
  2. 育児休業の申し出(育児介護休業法第5条・第6条)
    1. 労働者は、以下の事項について記載した休業申出書を原則として休業開始予定日の1カ月前までに事業主に提出することにより育児休業することができます。事業主は、要件を満たした労働者の申し出を拒むことはできません。
      • ア 育児休業申出の年月日
      • イ 育児休業申出をする労働者の氏名
      • ウ 育児休業申出の子の氏名、生年月日、続柄
      • エ 育児休業開始予定日、終了予定日
      • オ 育児休業申出の子以外に1歳未満の子がいる場合は、その子の氏名、生年月日、続柄
      • カ 育児休業申出の子が養子の場合は養子縁組の効力が生じた日
    2. 育児休業の回数は、特別の事情がない限り、一人の子につき1回であり、申し出ることができる休業は連続したひとまとまりの期間の休業でなければなりません。
      (特別な事情)
      • ア 産前産後休暇または新たな育児休業の開始により、休業が終了した場合で、その産前産後休暇または新たな育児休業の対象となる子が死亡、他人の養子になったこと等により、労働者と同居しなくなったとき。
      • イ 介護休業の開始により、育児休業が終了した場合でその介護休業の対象となる家族が死亡、離婚により労働者との親族関係が消滅したとき

      なお、子が1歳に達する日においていずれかの親が育児休業中であり、かつ次の事情がある場合は、子が1歳6ヶ月に達するまで休業可能です。
      1. 保育所への入所を希望しているが、入所できない場合。
      2. 子の養育を行っている配偶者が死亡、負傷、疾病等により子を養育することが困難になった場合。
    3. 育児休業開始予定日の変更の申し出(育児介護休業法第7条)
      1. 休業開始日の繰り上げ
        労働者に以下の事情がある場合は、1回に限り、育児休業予定日より前の日に変更することができます。(繰上希望日の1週間前までに申し出ることが必要です)
        • ア 出産予定日前の出生
        • イ 子の親である配偶者の死亡
        • ウ 配偶者の負傷又は疾病による子の養育困難
        • エ 配偶者と子の同居の解消
      2. 休業終了日の繰り下げ
        労働者は理由を問わず、1回に限り、休業終了予定日を当初予定日より後の日に繰り下げて変更することができます。(繰下希望日の1カ月前までに申し出ることが必要です)
    4. 育児休業申出の撤回(育児介護休業法第8条)
      育児休業開始予定日の前日までに書面により撤回することができます。ただし、撤回した場合は、配偶者の死亡など特別の事情がない限り、その子については再度育児休業の申し出をすることができません
    5. 不利益取扱いの禁止(育児介護休業法第10条
      事業主は、育児休業の申出をし、または育児休業をしたことを理由に、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。
    6. 育児休業に関連してあらかじめ定めるべき事項(育児介護休業法第21条)
      事業主は育児休業に関する労働条件についてあらかじめ定め、これを労働者に周知するように努めなければなりません。
      1. 育児休業中の待遇に関する事項
      2. 育児休業後の賃金、配置、その他の労働条件に関する事項
      3. その他の事項
        子どもを養育しなくなったことにより育児休業期間が終了した場合の勤務開始時期 育児休業中の労働者が負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法。
      また、このような定めを育児休業の申し出を行った労働者の取扱いを書面により明示しなければならない。

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    <職場復帰>

    1. 育児時間(労働基準法第67条)
      1歳未満の子を育てる女性は1日2回少なくとも30分子どもを育てるための時間を育児時間として請求することができます。事業主は育児時間中はその女性を働かせてはならない。
    2. 雇用管理に関する措置(育児介護休業法第22条
      事業主は、労働者の育児休業後の就業が円滑に行われるようにするため、育児休業をする労働者の事業所における配置その他の雇用管理、職業能力の開発及び向上等について必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。
      育児休業後は、原則として原職または原職相当職の復帰させることが多く行われているものであることに配慮しましょう。
    3. 勤務時間の短縮等の措置(育児介護休業法第23条)
      1歳未満の子を養育する労働者で、育児休業をしない者に
      1. 短時間勤務制度
      2. フレックスタイム制
      3. 始業・就業時刻の繰上・繰下
      4. 所定外労働をさせない制度
      5. 企業内託児施設の設置
      のいずれかの措置を講じなければなりません。

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    <小学校入学まで>

    1. 時間外労働の制限(育児介護休業法第17条)
      小学校就学までの子を養育する労働者で、子を養育するために請求した時は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1カ月当たり24時間 1年当たり150時間を超える時間外労働をさせてはなりません。
      ただし、以下のような労働者は請求できません。
      1. その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない者
      2. 配偶者が常態としてその子を養育することができると認められる者
      3. 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
        日々雇い入れられる者は請求できませんが、期間を定めて雇用される者は請求できます。
        請求期間は1回につき、1カ月以上1年以内で、その開始の日及び終了の日を明らかにして開始予定日の1カ月前までにしなければなりません。(何回も請求することができます。)
    2. 深夜就業の禁止(育児介護休業法第19条)
      事業主は、小学校就業までの子を養育する労働者が、その子を養育するために請求した場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜(午後10時~午前5時)に労働をさせてはなりません。
      ただし、次の者は請求できません。
      1. 日々雇い入れられる者
      2. 継続して雇用される期間が1年に満たない者
      3. 子を保育することができる同居の家族等がいる者
      4. 1週間の所定労働日数が2日以下の者
      5. 所定労働時間の全部が深夜である者
    3. 勤務時間の短縮等の措置(育児介護休業法第23条)
      1歳から3歳に達するまでの子を養育する労働者に
      1. 短時間勤務制度
      2. フレックスタイム制
      3. 始業・就業時刻の繰上・繰下
      4. 所定外労働をさせない制度
      5. 企業内託児施設の設置
      6. 育児休業の制度に準ずる措置
      のいずれかの措置を講じなければなりません。
      日々雇い入れられる者は対象となりませんが、期間を定めて雇用される者は対象となります。
      上記の育児時間(労働基準法第67条)とは別の措置でありそれぞれ実施する必要があります。適用を受けたこと等を理由として労働者に解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりませんし、また労働者が希望する期間を超えてその意に反して適用されるものであってはならない。
      事業主は3歳から小学校就学までの子どもを養育する労働者に対しても、育児休業制度または勤務時間の短縮等の措置に準じた措置を講ずるように努めなければなりません。(育児介護休業法第24条)
    4. 看護休暇措置(育児介護休業法第25条)
      事業主は、小学校就学前の子を養育する労働者に対して負傷または疾病にかかった子の看護のための休暇を与えるための措置を講ずるよう努めなければなりません。
      労働基準法第39条の規定による年次有給休暇とは別のものとして与えられるものです。
    5. 労働者の配置に関する配慮(育児介護休業法第26条)
      労働者を転勤させようとする場合には、その育児の状況に配慮しなければなりません。
    6. 職業家庭両立推進者(育児介護休業法第29条)
      事業主は、職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべき措置の適切有効な実施を図るための業務を担当する者を選任するよう努めなければなりません。
    7. 出産後の女性の健康管理に関する措置(男女雇用機会均等法第22条・23条)
      出産後の女性が母子健康法の規定による医師等の保健指導または健康診査を受けるための必要な時間を確保しなければならない。また、保健指導または健康診査に基づく指導事項を守るため、勤務時間の変更、勤務の軽減、通勤の緩和、休憩などの措置を講じなければなりません。

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