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令和5年度 地域子育て支援者の専門研修会

日時

令和5年8月28日(月)13:00~16:00

場所

 徳島県立男女共同参画総合支援センター 2階 学習室

参加者数

 17名

『絵本の魅力再発見』
  講師:湯地 由美さん(四国大学生活科学部児童学科 准教授)

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講義概要

子どもにとってよい絵本とは…
「子どもが楽しんでいて、反応しているものであれば、それがその子にとって良い本なのです。」
                              (ワエンディ・クーリング、2019)

 

1.絵本とは

  絵本は、子どもが生まれてはじめてあう‘’本‘’であり、絵本は、おとなが子どもに読んであ げる“本”である。(松井、2000)
 

2.保育内容領域「言葉」
  【ねらい(○)・内容(・)】(絵本に関わる箇所を抜粋)
 〔1歳以上3歳未満児〕
  ○絵本や物語等に親しむとともに、言葉のやりとりを通じて身近な人と気持ちを通わせる。
  ・絵本や紙芝居を楽しみ、簡単な言葉を繰り返したり、模倣をしたりして遊ぶ。

  〔3歳以上児〕
  ○日常生活に必要な言葉がわかるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育士や  友達と心を通わせる。
  ・絵本や物語に親しみ、興味をもって聞き、想像をする楽しさを味わう。

 現実には、自分の生活している世界しか知らない幼児にとって、様々なことを想像する楽しみと出会うことになる。登場人物になりきることなどにより、自分の未知の世界に出会うことができ、想像上の世界に思いを巡らすこともできる。このような過程で、なぜ、どうしてという不思議さを感じたり、わくわく、どきどきして驚いたり、感動したりする。また、悲しみや悔しさなど様々な気持ちに触れ、他人の痛みや思いを知る機会にもなる。このように、幼児期においては、絵本や物語の世界に浸る体験が大切なのである。(保育所保育指針解説 2017)

3.赤ちゃん絵本(0・1・2歳児対象)

(1)種類 ①ものの絵本 ②遊びや生活の絵本 ③言葉遊び・オノマトペの絵本
(2)特徴 ①小型(赤ちゃんが扱える軽さ) ②背景画がなくシンプル ③はっきりした形や  色彩 ④ページ数が少ない ⑤安全性(厚紙、角丸)                  
(3)選択のポイント 大人をも面白がらせ繰り返し読んで楽しく読める絵本(石井2020

4.絵本のジャンル

                                                                                            内容面

 

 

 

 

 

     昔話絵本

童話絵本      詩の絵本

創作(物語)絵本  ファンタジー絵本

     パロディ絵本

    ことばの絵本

         生活絵本

            科学絵本

 

 

 

 

 

文学的     科学的
 

ナンセンス絵本

    ポストモダン絵本

       文字なし絵本

   

            認識絵本

          写真絵本

      仕掛け絵本

 

                                形式面

                   絵本のジャンルの構造図(私案) (上山2019)

5.選書の観点

(1)子どもの観点より

絵本や物語などを読み聞かせるときには、そのような楽しさを十分に味わうことができるよう、題材や幼児の理解力などに配慮して選択し、幼児の多様な興味や関心に応じることが必要である。(保育所保育指針解説、2018)

(2)絵の観点より

①松居(1981)

・絵で展開をもの語っているもの

・絵の形が物語を表現しているもの

・テーマが子どもにも分かるように表現されているもの

・文と絵が一致しているもの

②瀬田(1985)

・はっきりしたテーマをもつもの

・小さい子のわかる親しい主人公が出てくるもの

・立派な絵で挿し絵してあるもの

③松岡(2017)

・絵によってものが考えられる(おはなしのすじがたどれ、作中人物の気持ちがわかり、作品全体のムードが感じられる)ようなもの

・絵本の絵は細部に至るまで、正確なもの

・子どもたちに美的満足を与え、より質のよい美しさの世界へ子どもをひきあげてくれるもの

                       ⇓

1)上にあげたようないくつかの条件を頭においておくこと

2)すでに何年かの間、子どもたちに愛され、いわば古典になっている絵本などを思い浮かべること

3)できるだけ子どもが絵本を読むときの心に近づいて、絵本に対すること(→絵だけで物語を追う)

 :絵と文の関係がしっくりいっていること(登場人物の服装、背景、絵全体の調子やムードなど)

(3)文章の観点より

①松居(1981)

・“いつ・どこで・だれが・なにを・どうして・どうなったか”ということが、順序よく、はっきりと、わかりやすく書かれていること

②松岡(2017)

・主人公と一体化

「子どもたちの心がふらふらと動き出さないうちに、しっかりと主人公と結びつけ、その主人公はすぐに行動に移ることで、子どもの心を引っぱっていかなければなりません。」

ex.『どろんこハリー』…「ハリーはくろいふちのあるしろいいぬです。」

  『もりのなか』………「ぼくは、かみのぼうしをかぶり、あたらしいらっぱをもって、もりへ、さんぽにでかけました。」

・レール式のストーリー(横道へそれないこと)・昔話から学ぶ(繰り返しの形式・はっきり目に見えるよう客観的な表現)

ex.『どろんこハリー』…

×「よごれるのなんかへいき」

 ○「どうろこうじをしているところであそんで、どろだらけになりました」

・子どもに理解でき、共感できるテーマと題材

グループワーク

 グループ毎に、同じテーマの3冊の絵本について、参加者同士で読み合いをしながら、その違いを吟味し、各自、ワークシートに記入の後、グループ内で意見等の交換をしました。同じテーマの絵本であっても、大きさや構図・挿し絵など、いろいろ違ったところがあり、それに読み手の違いも加わってさまざまに感じられるものなんだということ、また、参加者それぞれの気づきを今後に活かしていくことの大切さを学びました。

                                                                                                                                                               

感想

  • 子どもの観点という視点について考えさせられた。自分が頭でっかちだった気がする。
  • 同じテーマの絵本でもそれぞれに違った魅力があることに気づいた。
  • 子どもが安心して反応している本であれば良い本だという言葉に共感させられた。
  • 今後絵本を選ぶ時や読み聞かせ(読み語り)をする時に役立つと思う。
  • 参加者同志で意見交換できたのが良い経験になった。
  • 絵本の深さを感じられて良かった。
  • 職場で役立つ内容なので、今後、実践していきたい。

 

 

 

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