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「いいから いいから」効果

 私のこれまでの子育てを振り返ってみると、母としての自分育てと子育ての両方ともに、絵本なくしてはありえなかったと思います。子どもとの絵本の読みあいの楽しさや幸せが力をくれたし、絵本が自分や子どもに伝えてくれたこと、感じたこと、絵本とともにあった時間はすべて私たち親子の心の貯金、かけがえのない時間になっていると思うからです。子どもと読んだすべての絵本にその時々の思い出があり、ときどき思い出しては子どもと一緒に笑ったりして、読みあっている時だけでなくそのあともずっと影響を与え続けてくれているのです。
 

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 そんな思い出の中から、今回紹介する1冊は『いいから いいから』(長谷川義史 作 絵本館) です。おじいちゃんとぼくの平和な日常にやってきた珍しいゲストとそれに伴う様々な出来事。そのすべてに対して「いいから いいから。」と、ほんわかにこにこと自分のペースに巻き込んでいくおじいちゃん。ちょっと困りつつ巻き込まれていく(包み込まれていく!?)ゲストやぼく。アクシデントさえも「いいから いいから。」で、めでたしめでたし。といった内容で、シリーズ3冊目まで発売されています。

 子どもが小さい頃は、この「いいから いいから。」は私の子育てにおける魔法の呪文でした。子どもが何かをひっくり返しても、「いいから いいから。拭けばいいから。」洋服を汚しても、「いいから いいから。着替えればいいから。」と心の中で自分に言い聞かせながら対応すると、「もー!!なんで!」という気持ちから、「今は仕方ないな。こうやって大きくなるんだから」と思えてくるから不思議でした。もちろん、できるだけ大変さを減らすために、食事のときは机の下にピクニックシートを広げておくとか、公園に行く時には必ず下着から靴までの着替えを持っていくなどの準備はしていましたが・・・。
 

 日々の生活の中で「いいから いいから。」では済まないこともあるかとは思いますが、小さな子どものする大体のことは「いいから いいから。」でゆったり包み込んで大丈夫だったような気がします。そうすることで、なにより自分が精神的に楽になれた気がして、思わぬところに子育てのヒントがあるものだと感じたことを思い出します。
 

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私は今、小学校の朝の読み聞かせボランティアもしているので、集団に読み聞かせる時にもこの絵本を選ぶこともあります。低学年までの子どもたちに読むと、笑ってくれたり突っ込みをいれてくれたりして盛り上がり、読み終えた後にはにこにこほっこりさせてもらえる1冊です。実感されている方も多いと思いますが、絵本は時におもちゃになったり、コミュニケーションツールになったり、一緒に想像の世界で遊べたり、心に寄り添ってくれたり・・・と数え上げるときりがないほどの力と可能性を持っています。

 皆様もぜひ、お子さんと一緒に絵本を楽しんでください。そして、児童図書室にも遊びに来てください。

 

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鳴門教育大学附属図書館児童図書室:川上稚草

赤ちゃんから大人まで、誰でも本を読んだり借りたりできる図書室です。ボランティアの学生さんたちが読み聞かせをしたり遊んだりしてくれます。お子さんが遊んでいる間にゆっくり本を選んでいただけますし、お探しの本があれば一緒に探しますので、お声かけください。

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